VOATのカラオケ必勝法!!

歌が上手くなる豆知識
『声の仕組み』

歌うとき、身体の中はどうなっているのか、何が起きているか。

良いヴォーカリストになるには、大きく分けて3つの事をしなければなりません。

 

一つは、「楽器としての身体を作り上げること」。

もう一つは「その身体という楽器を使ってよりよい声を出す方法を学ぶこと」。

そして最後に「その声を音楽的に使うことができるようにすること」です。

 

残念ながらだいたいの人は第一の「楽器としての身体を作り上げること」をとばしてしまうがために、すぐに限界を感じて、悩んでしまうのが現状です。

だれもが生まれつき良い声の持ち主ではありませんが、声に関する筋肉を鍛えて、歌う身体をつくることで、良い声の持ち主になれるのです。

 

たとえば1万円のギターと50万円のギターでは当然50万円のギターのほうが「綺麗」で「通る」「大きな」音がします。

幾ら頑張っても、残念ながら1万円のギターはことごとく劣っています。そして良い音を望むなら、買い直すしかありません。

ところが人間であれば、今1万円の「声」しか出ない状態でも、鍛えることによって「50万円」に値する声になりうるということです。

ただし、ヴォーカリストにとって良い声を作るということは、楽器店にいって買い換えるというように簡単ではありません。

声に関わる筋肉を鍛えるということは時間がかかります。スポーツ・ジムで一回トレーニングしてもすぐに筋肉がつかないのと一緒で、声も練習に応じてゆっくり磨かれていきます。

そしてこれから鍛えようとする身体の各部分の働きを理解することで、その上達の時間を早めることができます。

楽器を弾く人がその楽器の各パーツの働きや、存在意義を理解しているように、ヴォーカリストは声をつくる各パーツを良く知る必要があります。

身体の各パーツをよく理解し、それに伴うエクササイズに進みましょう。

 

まず歌を歌おうとするとき、身体はいったいどのような反応をしているのでしょう。

脳から歌いたいという欲求と、どのように歌おうというイメージが起こり、そして命令信号がだされます。

そうすると身体は反射的に吸気運動が始まり、器官から息が入ります。

そしてある程度の所で息が止まります。そして肺の空気は横隔膜、肋間筋、斜腹筋、などの筋肉の動きで呼気運動がおこり、また器官に送り出されます。

送り出された空気は喉頭にある声帯を振動させ、声の元となる声帯原音と呼ばれる音が発生します。

この声帯原音は咽頭、口腔、鼻腔(共鳴腔と呼びます。)で響きを得て、舌、歯、唇(構音器官と呼びます。)で言葉を作ります。

1.     歌唱動機→歌いたいという欲求がおこると、脳が命令信号を出す。

2.     吸気→息を吸うための筋肉群が働く。

3.     止気→これ以上息が肺の中に入らない状態。

4.     声門閉鎖→声門が閉じる。

5.     呼気→息を吐くための筋肉群が働く。

6.     声帯振動→閉じた声帯に息が通ろうとして声帯を振動させ、声帯原音※1.を作る。

7.     共鳴→原音が共鳴腔によって響く。咽頭、口腔、鼻腔など。

8.     構音→母音、子音が作られ言葉になる。母音は咽頭の壁、舌、喉頭蓋で、子音は舌と唇、で作られる。.

 

1.歌おうとするとき

「歌う」という行動は「脳」からはじまります。歌いたいという欲求は脳によって発せられ、命令信号を受けた筋肉は、縮もうとしたり、ゆるもうとします。心臓の鼓動、呼吸、まばたき、など反射的な機能も脳がコントロールしています。

脳は異なる働きをするいくつかの部分に分かれています。右半分(右脳)は創造力など、感覚的なものを受けもっていて、左半分(左脳)は計算など、理論的なことを受け持っています。

歌おうとすると、まず右脳でイメージが生まれ、次に左脳が呼吸のための筋肉などを動かすための運動作用を起こし、その起こった運動を確認する作用が働きます。

 

2.吸気が始まる

「歌おう」という命令信号が脳から与えられると、身体は空気を取り込み始めます。横隔膜が最初に信号を受けますが、横隔膜の動きが何かの理由でおさえられていても、他の筋肉(肋間筋、肩をあげるなど)が肺に空気を入れようと動きます。

実は横隔膜以外の筋肉は繊細なコントロールが上手くなく、喉頭、つまり声帯に呼気圧(息を吐いた時に声帯にかかる圧力)をかけすぎてしまいます。喉頭は構造上わかるように「管楽器」の一種ですから、どのように息が吸われたのかという、いわゆる「息の質」で声の善し悪しをきめるといって過言ではありません。

つまり横隔膜呼吸(腹式呼吸)された「息の質」が最も良いのです。

 

3.息が止まった状態になる(止気)

きちんと腹式呼吸されたならば、横隔膜は限りなく平らに近い状態になっているはずです。呼吸の章でも説明しましたが。この時は喉が開いた状態になっていなければなりません。

つまりもう「少し吸える状態」吸気傾向の息止めになっていることが肝心です。

カメラのシャッターを切るときのような感じをイメージしてもらえばわかると思います。トイレできばるような「呼気傾向」の息止めですと、声帯に圧力がかかった状態なので、後の「呼気」に影響がでてきます。

どちらのほうが自然に息がながれ、声帯にむだな圧力をかけずにすむかわかると思います。ですからまだここでは声帯が閉じていません。横隔膜がもとに戻ろうとする力と肺の中の空気圧が同じで、釣り合っている状態です。

 

4.声帯が閉じます(声門閉鎖)

普通声帯は、吸息時には三角状に開いていて発声しようと、そこに息がながれると閉じます。呼気に向かう瞬間です。

 

5.息を吐いていきます(呼気運動)

息をいっぱいに吸い込むと、今度は横隔膜の緊張が解けて元のドーム型に戻り始めます。この動きによって肺を圧迫して、中の空気に圧力が加わるので、空気は気管に押し上げられます。

呼気運動に使われる筋肉群は、横隔膜、肋間筋、後背筋、直腹筋、斜腹筋などですが、歌う事で使うのは「横隔膜」「斜腹筋」が主です。

 

6.空気抵抗で声帯が振動します

声帯が、肺から流れてくる息の流れを通すとき、振動が発生します。声帯が閉じた状態の時に息が流れてくると、声帯は空気を区切って細かく一息ずつ通すように働きます。この時波打つ波紋のように見えて、「声帯縁波動作用」とよばれます。この結果、「声帯原音」が発生します。

 

7.喉頭内で生まれた音が共鳴を与えられる

声帯で発生した振動は咽頭腔、鼻腔、口腔といった「共鳴腔」で共鳴します。

咽頭はじょうごの形をした膜質筋の管で、頸椎の前、鼻腔、口腔、喉頭の後ろ側に垂直に伸びています。三つの部分に分けられ、上部の鼻腔と口腔があるところを「上部咽頭」(鼻咽頭)、舌根のあたりを「峡口咽頭」(口腔咽頭)、下食堂と喉頭がつながっている部分を「下部咽頭」(喉頭咽頭)といいます。

咽頭は食物と空気の両方の通り道で、幅が狭くなったり、広くなったりし、内側の壁は滑らかになったらり、ざらざらになったり、その様な変化によって、声に含まれる特定周波数の音を反射、または吸収して音が変わります。

喉頭の位置が下がれば下がるほど、共鳴するための咽頭の空間は広くなります。

 

8.言葉をつくるもの

母音は咽頭の壁、舌、喉頭を覆う喉頭蓋で作られます。これらの筋肉は喉頭で作られた原音の周波数系を変える役割を持っています。(共鳴の章で詳しく説明します。)子音は「母音の前のノイズ」といっても良いでしょう。この「ノイズ」は舌と唇で作られます。例外として「H」だけは開いた声帯の間を空気が通り抜けることによって作られます。

 

※ここで声帯について仕組みを説明しておきます。

あごのすぐ下の部分にある堅いかたまりが「喉仏」と呼ばれるところです。その周りも全体が大きな軟骨のかたまりになっていますが、そこを「喉頭軟骨」

とよびます。これは「甲状軟骨」(こうじょうなんこつ)と輪状軟骨」(りんじょうなんこつ)という二つの軟骨でできている枠で、英語では「Voice Box」(ヴォイス・ボックス)と呼ばれています。

喉頭の内側の壁から二枚のカーテン状に伸びている膜が「声帯ひだ」で、その端を縁取る細い帯状の軟骨が「声帯」です。声帯は左右対称で、粘膜、靱帯、筋組織からなっています。(声帯ひだの周りをおおっているのが甲状軟骨です。)声帯はいろいろな「内咽頭筋群」(ないいんとうきんぐん)によって開閉し、複雑な動きをします。

 

●内咽頭筋群

 1.輪状甲状筋(りんじょうこうじょうきん)

  声帯伸展→声帯を伸ばし、広げる役割。

 2.後輪状披裂筋(こうりんじょうふひれつきん)

  声帯開大→声帯をあける役割。

 3.側輪状披裂筋(そくりんじょうひれつきん)

  声門閉鎖→声門の開閉を調節する役割。

 4.披裂間筋(ひれつかんきん)

  声門後部閉鎖→声門の後部の開閉を調節する役割。

 5.甲状披裂筋(こうじょうひれつきん)

  声帯緊張→声帯の厚みを調節する役割。

※それぞれ独立した働きをつかさどっています。

 

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